リードナーチャリングの大まかな流れ
リードナーチャリングとは、将来顧客になってくれる可能性がある人たちがもつ購入意欲を育て、購入につなげていくマーケティング施策です。
見込み顧客を育てるという手法で、ビジネスにおいて新規開拓、顧客獲得に有効な手段として重要視されています。
この手法を活用する際の大まかな流れとしては、まず、リードジェネレーションと呼ばれる段階があります。
これは自分たちが売ろうとしている商品に対して興味をもっている人たちの注意を引くために、その商品の展示会を開催したり専用サイトを立ち上げて資料を掲載するといったことを行うステップです。
このときに将来顧客となってくれるかもしれない人たちの連絡先を集めます。
この次に行うのがリードナーチャリングです。前段階で展示会などに集まってくれて、商品を買おうかどうか迷っている見込み顧客たちに対して、メールやSNSさらにはより詳しい説明会などによりその購買意欲を育てていきます。
最後がクロージングと呼ばれる購入意思決定の段階で、より積極的な営業アプローチをかけて商品を売り込みます。
リードナーチャリングが有効なケース
リードナーチャリングが特に有効にはたらくのは、顧客が購入しようと決めるまで時間がかかる商品を販売する場合です。
たとえば、マンションや車、結婚式場の申し込みなどがこれに当たります。
また、購入を決めるにあたって複数の人による決断が必要な場合にも有効です。
社内システムを開発するためのハードやソフトの購入などがこれに当たりますが、誰か1人の社員の判断だけで決められるものではありません。こうした高額あるいは扱う規模が大きな商品やサービスは短期間で売りさばくといったことができません。
そこで、リードナーチャリングのような手法を用いるわけですが、まず顧客にはたらきかける前に自分たちの商品に対する綿密な分析が必要です。
その商品にはどのような特徴・利点があるのかを詳細かつ客観的に分析します。
これにより、どのような人たちが買ってくれそうなものであるか、言い換えるとこの商品を買って得をするのはどのような人たちかということが明確になります。
この分析結果をもとに、商品に興味をもってくれそうな人たちを集める展示会などのイベントを開催したり、インターネットに専用サイトを公開したりするわけです。
こういったイベントなどを企画する際には、自分たちの商品がそもそもどういうプロセスで売れているかということも把握しておくことが大事です。
ネットを利用した通販で売れていることが多いのか、それとも店舗に来た顧客が直接店員から買っていることが多いのか、これを把握しておかないと見込み顧客の少ないところでイベントを行うようなことになるので注意です。
アプローチの力加減がポイント
展示会や説明会といったイベントや、専用サイトを公開したあとに、商品を買ってくれそうな見込み顧客とそうではない人たちを見分けることができます。
展示会などでスタッフに質問をしたり詳しい資料を持ち帰った人や、ネットから質問のメールやパンフレットの送付を申し込んできた人たちは、見込み顧客と判断してさらに営業戦略を進めます。
彼らの中にある購買意欲を育成していくためのアプローチとして、さらに商品を売り込んでいきます。
ただ、このときに注意しなければならないのは、見込み顧客がもっている商品への興味の度合いに応じたアプローチをとるということです。
もう少しだけ話を聞きたいという人には複数人を集めての説明会やさらに詳細な資料を送付するようにし、ほぼ購買することを決めていそうな人には個別にプレゼンを行うといった具合に力の入れ方を調節します。
この手法が、ただ単にメールを一斉送信したり、一方的にDMを送りつけたりする商法と大きく異なるのはこのあたりの力の調節にあります。
ほぼ買うことを決めかけている人には、くどくどした説明は必要なく、一番のセールスポイントを案内する程度で購入してもらえます。
反対に、ちょっといいなと思って立ち止まって商品を眺めているだけなのに、しつこく勧誘されても買う人は少ないでしょう。
それに、方向違いの売り込みをするとせっかくその見込み顧客がもっていた購買意欲をなくしてしまいます。
自分たちの商品に興味をもってくれた人たちとの良好な関係を築きつつ、商品購入へとつなげていくということが重要です。
リードナーチャリングのような手法が確立されていった要因の1つにはインターネットの普及があります。
インターネットを利用することにより、顧客は効率よく自分たちが興味をもっている商品について情報を集め、比較検討できるようになりました。
そのように、買い手が商品に対する興味を示しやすくなった状況に、売り手がより興味をもってもらえるような情報を公開することが、この手法のスタートであり根本となる考え方です。
押し付け型ではなく、売り手と買い手の双方が商品をはさんで少しずつ近寄っていくことで商談が成立するリードナーチャリングは、顧客と企業の良好な関係を築く手法でもあります。
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