業務委任契約の種類
会社を経営していく上では、自社商品開発のための原材料費のほか広告宣伝などさまざまなコストを覚悟しなければなりません。
とりわけ人件費は給与や社会保険料、税金といった固定費が重い負担になりがちです。
新たな人材の雇用が躊躇われる場合は業務委託が有効な手段の一つといえるでしょう。
業務委託は自社の従業員として雇用する契約ではないので、雇用契約から当然発生するような賃金や労働時間、安全管理などの責任を負わずに済みますし、委託契約で発生する報酬以外にコストの心配はいりません。
また自社が得意でない分野のみ依頼したり、繁忙期だけの契約といった依頼主の都合が優先できる点が大きなメリットです。
『請負』と『委任』
業務委託契約には、二つの契約方法が存在します。
一つが「請負」で他方が「委任」です。
いずれも法律上規定があり、契約内容を初め権利や義務が若干異なります。
請負契約は、依頼された仕事の完成を約束し、その結果に対して報酬を支払うものです。
したがって、仕事を完成する前に報酬請求はできませんし、万が一完成した目的物に問題があるときは請け負った側が担保責任を負います。
委任契約の場合は、委託と承諾で成立し別途契約しない限り、原則報酬は発生しません。
逆にいえば当事者が取り決めにより自由に報酬の支払い方法を選べるのです。
大きく『固定報酬制』と『成果報酬制』に分類することができます。
たとえば保険代理店で考えた場合、成約ごとに数パーセント代理店の利益になるときは成果報酬になります。
一方成約数に関わらず定めた期間ごと一定金額が支払われるときは固定報酬です。
その良し悪しは、契約当事者の考え方などに左右されるので一概に言えません。
商品の販売委託をした場合に、1個100円の品物が毎月1000個は必ず売れるとすれば、コストを考慮しなければ10万円の利益です。
その10%である1万円を受任業者に支払う時、完全成果報酬で契約を結んでいれば、5000個売れた月は5万円を受任業者に支払う必要があります。
しかし、固定報酬ならばこの場合でも1万円の支払いで済みます。
逆に1000個売れない月が大半の場合なら固定報酬だと成果報酬よりもコストが掛かることになります。
このように報酬の支払い方法は委託内容や業務形態などいくつかの側面で違ってきます。
業務委託するメリットと注意点
業務委託できるサービスの中には、商品の販売代理や建築請負などよく知られた形態のほか、営業代行と呼ばれるサービスがあります。
これは依頼する会社に代わってモノを販売したり、仕事の完成を請け負う形態ではなく営業活動に関する周辺業務のみを専門に行います。
会社の営業部門を切り離して依頼するイメージでしょう。
営業代行を委託するメリットは、自社が未開拓の分野に対しても営業活動が行えるためサービス網の拡大に繋げられる。
新規営業担当者を採用することなく必要な人材を集められる。
新規業者の場合は、場当たり的な営業活動になりがちなので専門的な立場から助言がもらえるなどがあります。
具体的には、飛び込みの営業から資料請求の受付や販売促進、ダイレクトメールの作成・発送、顧客リスト管理、営業マニュアルの作成などが依頼できます。
では、実際営業代行に依頼する際の契約で注意すべき点を見ていきましょう。
やはり重要なのは委託する業務の範囲だと思います。
この点が曖昧だと依頼会社のコストに大きく影響するからです。
営業代行は一般的に成約数で報酬を決めるのではなく、営業活動を行った件数で決めることがあります。
これは代理店契約や請負契約とは違うので仕方ありません。
そこで契約書には、どのような活動に対して、どのくらい報酬を支払うのかは明確に記載しておきましょう。
たとえば資料請求の依頼件数ごとにいくらなのかや、顧客リスト管理は毎月どのくらいなどです。
一般的に代行業者側が報酬体系を準備していることが多いので、事前によく目を通し納得の上で契約を結ぶべきです。
サービスを選ぶ際に重要なのは『サービスの質』である
最適な営業代行サービスを選ぶ際に重要視すべき点は、もちろんサービスの質でしょう。
いくら価格が安くても明確な売上アップにつながらないときは委託が無駄になります。
したがって、質には十分にこだわることは不可欠です。
その上で自社の予算に応じた業者を選択しましょう。
営業部門はある意味で自社の顔ともいえ、営業先の会社のイメージを左右する重要な業務ですから、あまり評判が良くない業者は避けたほうが無難です。
コンプライアンスなどの情報収集は怠ってはいけません。
自社がいくら健全経営を心がけていても委託業者がコンプライアンス違反を犯しているとすれば自社も同様に見られます。
その他、業務範囲の広さや契約件数なども依頼の際には参考になります。
そして、ようやく出会えた業者でもサービスエリア外だと依頼のしようがありませんから事前確認が大切です。
事業に行き詰まりを感じている会社や営業活動に成果が認められない会社でも上手に営業活動を行えば、現在よりもっと潜在力を引き出せるかもしれません。
そんなとき営業代行を考えてみるのも打開策の一つです。
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